農村RMOについて

農村RMOとは、住民主体の地域づくりに「農」の要素を加え、 住み続けられる地域を目指して活動する組織

暮らしやすい地域をつくるには、住民による活動が欠かせません。住民が主体として取り組む地域の活動には、自治会・町内会、消防団、祭りの運営、高齢住民の見守りなど、様々なものがあります。しかし高齢化・人口減少にともない活動のなり手が減少する一方、行政サービスには限りがあり、これまで通りのやり方では増え続ける課題に応えることが難しくなっています。

そこで、地域活動を行う組織の力を高めるため、地域内の様々な団体を束ねる「地域運営組織(RMO=Regional Management Organization)」の形成が各地で進んでいます。このページで紹介する「農村RMO(農村型地域運営組織)」は、地域運営組織に「農」の要素が加わったものといえます。

農林水産省によると、農村RMOには大きく分けて3つの活動が期待されています*¹。
  • 生活支援活動:買い物支援、移動支援、高齢者福祉など
  • 農地保全活動:水路の清掃・草刈り、農道等の管理、農村景観の保全など
  • 地域資源活用:イベントを通じた農村関係人口の創出・拡大、地域特産物販売など
上記に挙げたほかにも、「農」に関する活動として、地域の農地の現状把握、耕作放棄地の活用、鳥獣害対策など、様々な活動が考えられます。では、なぜ「農」の要素が求められるのでしょうか。

農村集落では、農用地は面積の多くを占めますが、農業に従事している方は住民のごく一部という場合が少なくありません。しかし農地が荒廃すると、景観が悪くなるだけでなく、鳥獣害が起こりやすくなるなど、集落の全員にとって悪影響があります。農業を基盤とした共同作業や祭りなどの文化は、集落の無形の宝物です。集落を構成する重要な要素である農地を、農家・非農家が一体となって守ることは、国の政策としても支援されています*²。

農地は、集落の住民以外にとっても様々な効果をもたらしています。農地が持つ多面的機能には、食糧供給だけでなく、土砂災害の予防、レクリエーション空間、学びの場など様々なものが挙げられています*³。

農村を守っていくことは社会全体にとって重要な課題であり、農村地域においては、農地を守ることが地域を守ることと直結しています。人口減少や高齢化に対応しながら、農地を守っていくために、農地保全に取り組む団体が地域運営組織に参画したり、地域運営組織が農地保全にも取り組むことが考えられます。このようにして形成された農村RMOが、今後も増えていくことが期待されています。

農村RMOにおいては、複数の集落が一体となって活動することも求められています。多くの地域運営組織(RMO)は自治会・町内会の連絡協議会や公民館、PTA、老人クラブなど、複数の集落をカバーする組織が中心となって組織されていますが、農地保全活動は集落ごとの活動が多かったといえます。人口が減少し、ひとつの集落だけでは保全活動が十分にできなかったり、役員のなり手がいなかったりする集落も少なくありません。複数の集落が協力して活動することで、農地保全に取り組む体制を強化できます。

<出典・脚注> *1:農林水産省「中山間地域の農用地の保全と農村型地域運営組織(農村RMO)の形成について」(2024年4月時点) *2:農林水産省では、日本型直接支払制度として、中山間地域等直接支払交付金などを実施しています。 *3:農林水産省「農業・農村が有する多面的機能」